相続税の計算
相続税の計算は次のとおりに行います。
一、まず、財産の評価をします。土地の評価は路線価といって税務署にある基準によります。小規模宅地(二〇〇㎡以下)については、事業用は六〇%、居住用は五〇%減額されます。積極財産から債務や葬儀費用を控除し、純資産を出します。
二、次に基礎控除を行います。基礎控除は、四千万円プラス八○○万円に法定相続人数を乗じた額です。控除後の額を法定相続分で分け、それに税率を乗じます。税率は左記のとおりです。それから率ごとに定められた一定額を控除し、相続人全員の総額を出します。
三、以上で出てきた相続税の総額を実際に分割する割合で負担することになります。
四、配偶者の場合は、八○○○万円又は法定相続分相当額まで税額が控除されます。
法定相続人以外の者が遺贈を受ける場合は、二割増額されます。
五、実子がいる場合は、税額計算上、養子のうち一人のみを法定相続人に含めます。被相続人の居住の用に供していた土地又は建物以外で相続開始満三年内に取得された土地又は建物は、今回の改定で路線価でなく取得価額により課税されることになりましたから気をつけて下さい。
※ 平成二〇年現在は、基礎控除が五千万+一〇〇〇万×法定相続人の数で、税率も五〇〇〇万~一億 三〇%、一億~三億 四〇%、三億以上 五〇%と変っています。
アッ 手形がない?こんな時どうする
手形をどこかに置き忘れて所在がわからなくなったり、盗まれるということがあります。手形をなくしてしまうと手形の振出人や裏書人に手形金を請求することができません。また、なくした手形が他人の手に渡れば、手形上の権利が他人のものになってしまい、なくした人は権利を失ってしまう可能性があります。
そこで、一日も早くなくした手形を持っている人を発見し、手形を見付け出さなければなりません。そのためには、至急、手形金の支払場所に指定されている金融機関、振出人、裏書人に連絡をとり、なくした手形を持ってくる者があったら連絡をもらえるようにしておくことと、警察に行って遺失届あるいは盗難届をしておくことが必要です。
ただ、こういった連絡や届出は、なくした手形を発見し、または手形を持っている人を知る手がかりとなるにすぎず、手形の権利が他人に渡ることを防止する意味はありませんし、なくした人が手形を持たずに債務者に手形金を請求できるようになるわけでもありません。手形をなくした人が手形を持たないでも手形金を請求できるようにするには、つぎに説明する公示催告という手続を経たうえ、除権判決という裁判所の判決をもらわなければならないのです。
ですから、手形をなくした場合は、さきほど説明した連絡や届出をするとともに、急いで弁護士に相談し、公示催告手続を進めることが必要です。
公示催告手続は、手形金が支払われる場所を管轄する簡易裁判所を通じて行なわれ、手形を持っている人は届出るよう裁判所の掲示板と官報で公告する手続です。
この公示催告手続を行なった後、裁判所から除権判決をもらいます。除権判決がありますと、手形をなくした人は、手形を持っていなくても債務者に手形金を請求できることになっています。
さて、公示催告を開始して除権判決までどのくらいかかるかですが、法律上は最低六か月、実務では約八か月の期間を置くことが多いようです。かなり時間がかかるだけでなく、現在の法律では、除権判決があるまでの期間は、いつでも手形の権利が他人のものになってしまう余地が残されているという問題があり、手形をなくした人にとって万全の制度とは言い難い面があります。でも、手形をなくした人に法律が与えた唯一の救済手段ですから、急いで公示催告手続を進めるべきであることは言うまでもありません。
なお、手形以外の有価証券をなくした場合も大筋は同様ですので、直ちに弁護士に相談されることをお勧めします。
身 元 保 証
Q 私は、Bさんに頼まれてBさんが会社に就職するについての身元保証人になりましたが、身元保証人というのはどういう責任があるのですか。
A 将来Bさんが故意又は不注意によって会社に損害をかけた場合に、当然Bさん自身が会社に対してその損害を賠償することになりますが、Bさん自身が賠償できないときに、身元保証人はBさんに代って会社に対して損害を賠償しなければなりません。
Q 身元保証人が責任を負わなければならない事例としてはどのようなことが挙げられますか。
A 裁判所にあらわれた事例を見てみますと、会社の金を使い込んでしまったというのが圧倒的に多く、そのほか背任行為や交通事故を起こして会社に損害をかけた事例などが見られます。
Q 身元保証人は会社の損害の全額を支払わなければならないのですか。
A 原則としてはそのとおりです。しかし、会社にも本人を監督する義務があることなどから、「身元保証に関する法律」によって、裁判所は、会社側がどの程度本人を監督していたか、身元保証人が保証人になった事情はどうか、会社側が損害を填補すべく損害保険をかけていたかどうか、など一切の事情を考慮して身元保証人が会社に対して支払うべき金額を決定できることになっています。実際に裁判になった例を見て見ますと、裁判所は多くの事案において、このような事情を考慮して身元保証人の責任を相当程度軽減しています。
Q 私はBさんが会社をやめるまで身元保証人としての責任を負うのでしょうか。
A 身元保証は期間の定めがあるもので最長五年間しか効力はありません。期間を超えて効力をもたせるためには会社と身元保証人の間で更新する旨の合意が必要です。
期間の定めのないものについては、身元保証人が相当期間経過後に一方的に解約することができます。解約しなくても三年又は五年(見習の場合)後には身元保証人でなくなります。
Q 私のほうから一方的に身元保証契約を解除することはできませんか。
A 期間の定めのあるものについては原則としてできません。ただし、Bさんが不正行為をしたことが判明したときや、採用条件と全く異なる職種に転属したときなどには、将来に向って契約を解除することができます。