息子が逮捕された!?
Q 私の息子は、車で人を跳ねて死亡させ、その場で警察官に逮捕されてしまいました。今後、どのようになるのでしょうか。
A 息子さんは業務上過失致死罪という容疑で、今後、警察や検察庁で取り調べを受け、その取り調べの結果により刑事裁判を受けるかどうかが決められます。
Q 息子はいつ釈放されるのでしょうか。
A 人が逮捕された場合には、通常、警察官によって四八時間留置され、その後、検察官によって二四時聞留置され、更にその後、裁判所の「勾留」という決定により一〇日間留置されます (なお、勾留は、更に一〇日間延長されることがあります)。
検察官は、勾留の満期までに、容疑者を起訴するかどうかを決めます。起訴ということになれば、そのまま勾留が継続されて裁判になります。起訴しない場合には検察官は容疑者を釈放します。
したがいまして、息子さんは起訴されなければ一三日目(勾留が延長されれば二三日目)までには釈放されます。なお、勾留の決定がされなければ、三日後には釈放されます。
Q 起訴されれば、裁判が終わるまで釈放されないのですか。
A 裁判所に「保釈」の申請をし、これが認められると、すぐ釈放されます。但し、保釈が認められるためには保釈金を裁判所に預ける必要があります。保釈されない場合は、裁判の結果、執行猶予判決がなされれば、その時点で釈放されます (実刑判決であれば刑務所へ行くことになります)。
Q 息子は、今後、どこに留置されるのでしょうか。
A 東京都内の場合、原則として、起訴前は逮捕された警察署、起訴後は葛飾区小菅又は八王子の拘置所とされています。
Q 面会はできるのでしょうか。
A 逮捕された直後の三日間は難しいかもしれませんが、その後の勾留の期間中は、原則として面会することができます。但し、面会時間は三〇分くらいに制限されています。
なお、この勾留の決定には接見禁止という処分が付されることがあり、その場合には、弁護人以外は面会できなくなります。しかし、交通事故の場合にはあまり接見禁止にはなりません。
Q 差し入れはできますか。
A 衣類や現金などの差し入れができます。ただ、差し入れ品の検査を受けることは勿論、指定業者を通じてしか差し入れができない物があったり、数を制限されたりするなど様々な規制がなされているので、事前に警察や拘置所に尋ねてみるとよいでしょう。現金の差し入れをすると、本人が日用品や食品などを購入できるので便利です。
離婚の手続き
Q 私は夫と離婚したいと思いますが、離婚の方法を教えてください。
A 離婚の方法は四つあります。当事者の話し合いによる協議離婚、家庭裁判所(家裁と略します)の調停による調停離婚、家裁の審判による審判離婚および地方裁判所(地裁と略します)の判決による判決離婚です。
Q どの方法によるのが良いでしょうか。
A 当事者の話し合いによる協議離婚が成立すれば、それに越したことはありません。
Q 協議離婚の手続きは?
A 当事者間で話し合って離婚に合意すれば、「離婚届」を最寄りの市区町村役場へ提出するだけでよいのです。届出用紙は役場でもらえます。本籍地以外の役場へ提出するときは、戸籍謄本を添付しなければなりません。
Q 離婚届にはどんなことを書きますか。
A 当事者双方と成人の証人二名が署名捺印すればよいのです。印鑑証明書は不要です。未成年の子がいれば、夫か妻のどちらかを親権者に決めて記載します。婚姻の際に姓を改めた配偶者が離婚しても旧姓に戻りたくないときは、別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を出します。
Q 一度は離婚に同意して離婚届に印を押したけれども後で気が変わって離婚したくなくなったときや、だまされて離婚の同意をさせられたときに、相手方が離婚届を役場に提出するのを防ぐ方法はありませんか。
A そのようなときは、役場で「不受理申出書」の用紙をもらって離婚届が提出されても受理しないでくれと申出ておくと協議離婚の成立を防止できます。これは六ヵ月間だけ有効ですから、勝手に届出られる危険がなくなるまで、六ヵ月毎に期限の切れる前に届出を繰返さなければなりません。
Q 協議離婚が成立しないときはどうすればよいでしょう。
A そのときは家裁へ離婚の調停を申し立てることになります。
Q どこの家裁へ申し立てるのでしょうか。
A 相手方配偶者の住所地を管轄する家裁またはその支部や出張所です。近くの家裁へ電話すれば教えてくれるでしょう。
Q 夫が家出して行方不明のときは、どこの家裁になりますか。
A 相手方が行方不明では調停の申立はできません。このときは、例外的に、調停を省略してただちに地裁へ離婚の訴訟を起こせます。通常はまず家裁で離婚の調停をしてみて、それが不成立のときだけ地裁へ離婚の訴訟を起こせることになっています(これを調停前置主義といいます)。
Q 審判離婚とはどうするのですか。
A 家裁へ調停を申し立てたが成立する見込みがない場合に調停に代わる審判として行われます。しかし二週間以内に異議申立があれば効力を失います。実際に利用される例は少ないそうです。
Q 離婚訴訟はどこの地裁へ起こすのでしょうか。
A 相手方配偶者の住所地を管轄する地裁かその支部です。相手方が行方不明のときは、その最後の住所地を管轄する地裁またはその支部です。
支払命令について
【Q】知人に一○○万円貸したのですが返してくれません。このような場合によく使われる支払命令というのはどんな制度ですか。
【A】これは金銭で払ってもらえば用の足りる債権について、支払命令申立書を債務者つまり借り主の住所地を管轄する簡易裁判所(以下簡裁と略します)へ出すだけで、裁判所は債務者を呼び出さずに、債権者であるあなたの主張に基づき支払うよう命令を出してくれる制度です。家屋明け渡しのような請求には利用できません。
【Q】支払命令申立書に貼付する印紙は訴状と同じですか。
【A】いえ、そうではありません。訴状に貼る印紙額の二分の一です。
【Q】その命令が債務者に到達すればそれだけでよいのですか。
【A】債務者が支払命令を受け取ってから二週間以内に異議申立をしなければ、判決と同じ効果が生じます。
【Q】では、債務者が異議申立をすれば。
【A】債務者が異議申立をすれば、通常の訴訟となり、請求額が九〇万円を超えない事件はその簡裁へ、九〇万円を超える事件はその簡裁の所在地を管轄する地方裁判所(以下地裁と略します)へ移行するのです。
【Q】支払命令は債務者の住所地が遠方のときに利用すると損だそうですが。
【A】ここで大事なことは管轄です。金銭の支払いを求める訴訟は債務者の住所地で起こせるだけでなく、ほとんどが支払い義務の履行地、つまり債権者の住所地へも起こせることになっています。ですから、最初から通常訴訟とすれば債権者の住所地を管轄する簡裁または地裁へ起こせたのです。なまじ支払命令を申立てたために、通常訴訟を債務者の住所地を管轄する簡裁または地裁でしなければならないことになります。
【Q】うっかり遠方に住む債務者に支払命令を申立てると大変ですね。
【A】債務者の住所が近ければ大したことではないのですが、遠方なら交通費の負担が大変です。最初に印紙が二分の一ですむからと安易に支払命令を利用するのは禁物です。
【Q】その印紙ですが、通常訴訟に移行すると、どうなりますか。
【A】債権者は「訴状に代わる準備書面」を提出しなければなりませんが、その準備書面に印紙を支払命令と訴状との差額、すなわち最初に貼付した印紙と同額だけ追貼することになります。
通常訴訟に移行するための手続きで一ヵ月位はかかりますから、それだけ訴訟の進行が遅くなったことになります。
【Q】支払命令申立を弁護士に依頼した場合には手数料は通常の訴訟より安いですか。
【A】はい、報酬規定で安く決められています。
【Q】相手方の異議申立で通常訴訟に移行すると弁護士の手数料はどうなりますか。
【A】弁護士の手数料も差額を追加していただくことになります。
※ 平成二〇年現在、支払命令は支払督促と名前を変えていますが、内容はほぼ同じです。